直流と交流の電流イメージ

直流と交流の電流イメージ

 

「電流は、導体の中の電子の流れ」
(でも電子の向きと電流の向きは逆向きと定義されている)

 

というのは、電気の参考書ならほとんどの基本書に書かれているかと思います。

 

つまり、電流が流れている、ということは、導体の中で電子が移動していることなんだ、っていうことですね。
(厳密には、電子だけじゃなく電気を帯びた「電荷」というものの流れが電流です)

 

 

で、直流回路の場合は、その電子の流れが一定の方向に一定のペースで移動しているので
よく“水の流れ”に例えて電流を説明している本が多くて、イメージもしやすいんじゃないかと思います。

 

 

でも、電気を初めて勉強する人はこんな疑問があるんじゃないかと思います。

 

「じゃあ、交流の場合はどんな感じなの?」

 

と。

 

これは実際に僕もよく聞かれる質問です。

 

 

交流というのはご存知、1秒間の間に50回とか60回とか、電流の流れる“方向”が切り替わる電流です。

 

なので、直流みたいに一定方向に一定のペースで電子が移動しているわけではなく、移動速度も移動方向も常に切り替わりながら移動していることになるので、その辺のイメージが涌きづらいんですよね。

 

 

このページでは、その「直流と交流の電流の流れ」というのがイメージ的にわかるように説明していこうと思います。

 

 

直流は水の流れ!?

 

 

ではここで、直流と交流の場合の電流の流れをイメージ的に表したアニメーション画像を用意しました。

 

まずは直流です。

 

↓直流の電子の流れ(イメージ)

画が雑ですが(笑)、○が電子で太線の導線内を一定のペースで移動していると考えて下さい。

 

上のアニメーションだと、電子が左から右向きに向かって流れていますので、電流は逆向きの右から左に向かって流れている直流電流、ということになります。

 

 

このようなイメージで、「電流が流れている」ということは導体の中で、小さな小さな電子が一定方向に移動しているわけです。

 

 

で、導体の中を電子が移動している過程で、その導体を構成している原子に電子がぶつかる衝撃で「熱」が発生します。

 

電流を流すと熱が発生するというのは、電子が原子にぶつかった衝撃で熱になる、という物理現象なわけですね。

 

なので、電流が大きければ大きいほど、つまり、電子の移動スピードがより速いほど、衝突したときのエネルギーは大きくなるのでより大きな熱が発生します。

 

 

自動車の免許を持っている人は、

 

「車の時速が倍になれば、衝突したときのエネルギーは速度の二乗に比例するので4倍になる」

 

なんてことを教習所で習ったことがあると思いますが、電流も電子と原子の“衝突”なので同じ原理です。

 

電流による発熱(ジュール熱)が、電流の二乗に比例するっていうのもそういうことですね。
(→ ジュール熱=電流2乗×抵抗値×時間)

 

 

 

交流電流は電子の「振動」!?

 

この直流に対して、交流の電子の流れはどうなるのか?

 

っていうと以下のようになります。

 

↓こちら(交流の電子の流れイメージ)

 

直流が一定のペースで一定の方向に電子が移動しているのに対して、

 

交流は電子1つ1つがその場で“右に行ったり”“左に行ったり”というのを繰り返すようなイメージになります。

 

この右に移動している「瞬間」というのが、電流が左向きに流れている「瞬間」になりますし、

 

左に移動している「瞬間」が、電流が右向きに流れている「瞬間」ということになります。

 

 

実際の交流は、1秒間に何十回もその方向が切り替わるので、電子単体で見るとその場で激しく「振動」しているような動き方になると思います。

 

 

電流のスピードは光の速さ!?

 

あと、上記に関連してこんな疑問をいただくことがあって、

 

「電流の流れるスピードって、ほとんど光の速さって聞いたことがあるんですけど・・・?」

 

という。

 

なので、交流回路の電子も一瞬で膨大な距離を行っては帰ってきているものだとイメージしちゃう人がいますが、それは間違いです。

 

 

ここ結構勘違いしている人が多いので補足しておくと、

 

電子の速度(電流の速度)が光の速度に等しいのではなくて、電子に対して電圧(電界)を加えたときにその電子が“動き出す”速度、

 

つまり、電圧をかけることで電子に「動け」という指令が出るわけですが、

 

その指令が伝わる速度が光の速度にほぼ等しいだけで、実際の電子の動きというのはそこまで速くはありません。

 

 

1Aの直流電流で導体の中を電子が移動するスピードは、(導線の太さによって変わりますが)、だいたい人間が歩くくらいのスピードとそんな変わらない、

 

っていうのをどこかの研究書で読んだことがありますが、イメージとしてはそんな感じです。

 

 

なので、1秒間に何十回も移動方向が変わる交流電流というのは、ほぼその場で「振動」しているようなイメージになります。

 

 

で、上記のように物体(導体)の内部で電子が激しく移動しても、物体内の「原子」と電子が衝突を繰り返すので、

 

直流の場合と同じように、その衝突のエネルギーが熱となって現れて、それが「ジュール熱」になります。

 

 

というわけで、イメージしにくい交流の電流の流れ方ですが、上の雑な(笑)アニメーションで少しはイメージしやすくなったことを期待して以上になります。

 

 

NEXT => 「交流電気を超簡単に考える方法とは?」

 

 

おススメページ=> 「解説動画集」

お知らせ(資格とっ太郎の講座サービス)

『本当の意味で“前へ進む”勉強を始めませんか?』

本物の知識を追求する新しい電験3種のオンライン塾はこちら。
https://wkmn-ytr.com/daidenjuku/

電験2種のオンライン塾も始めました。
https://wkmn-ytr.com/2shusemi/